ホチキスの針を抜く

ホチキス、まあステープラという言い方が正しい。
 
 あれで綴じたものをバラバラにする。
 たまにコピーするとか、スキャンするとか、シュレッダにかけるとか、そんな綴じた書類の針を外して解体しないといけない時があったりする。
 


 それにはその針を抜いてやらないといけないんだけれど、ずっと爪で綴じてある部分を開いて、それから爪を突っ込んで、、、みたいなことをやっていた。
 
 まず書類の綴じた面の裏にして、紙に食い込んでいる針を広げて真っ直ぐに伸ばして、それから表の綴じてある針を爪で引っ掛けて持ち上げてゆく。そして針を抜く。


 そんな感じ。
 
 まあ実際には面倒臭いので、よほど大事なものでなければたいていは書類を二つにひっぱって分割して引きちぎって、食い込んでいた針が伸びたら、残ったのを爪で抜いてとかやっていた。

 

 ある時、それを見ていた事務の女性から、ホチキスの後ろにあるのがそれで、ホチキスの針を抜く時のために使えるようになっているのだと言われる。
 え?
 これ?
 
 
 確かにホチキスの後ろには飛び出ている部分がある。


 尖ってないが邪魔な感じのやつ。
 缶切りの先とか、爪の甘皮除きみたいになってる部分だ。
 


 ずっとこれはなんだかホチキスの製造過程でどうしても必要な部分だろうとか、果ては壁に吊るすとかどっかに立てかけておくるとか、そんな風に思っていた。確かに穴は空いてない。
 
 綴じてる側にそのままその後ろの突起をねじ込んで差し込む。
 すると前に押すだけで綴じている針が取れた。
 紙も破れずにキレイに取れた。

 

 なんてこった。こんなの知らなかった。
 思い込みのせいでこんな部分に目など一度もいかなかった。
 ずっとこれが何かの用途にあって、使えるなんて思ってもいなかったし、知ろうともしなかった。
 
 やってみると面白いように外れる。
 大事な書類はグジグジやって解体したり、あまり重要でないのは紙ごと無理やり破ったりしていたけど、それが嘘のようだ。
 こんな機能があったのか、と。つくづく感心してしまった。
 知らないことってあるものだ。

 

 その女性、そんな俺を見ていて、とうとう言ったね。
 
 「色んなこと知ってるのにねぇ・・・(笑)」
 
 ずいぶん昔の話ではあるんだけど、その言葉はまだ突き刺さったままだ。
 
 

 

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