非財務情報とは何か
「非財務情報の積極開示」などということが最近は盛んに言われます。
それは会社が四半期ごとに開示する決算表などには含まれていない情報の開示ということです。
投資家に対してこうした情報を開示することで公正な投資環境を整備できる、そんなキャンペーンとなっています。
では「非財務情報」とは何でしょうか、どんなものを開示すればよいというのでしょうか。
特許、製品開発の進捗具合、これは投資行動に役に立つかもしれませんがあまり開示するとマズい場合もありそうです。
新規事業所、新規店舗展開、これもちょっと都合の悪い場合があるかも知れません。
競合のために計画自体がなかなか明かせないということはあります。
出店計画にしても重要な事業戦略だったりします。
公正に情報開示をしたつもりが会社の競争を阻害してしまったのでは会社の利益になりません。つまり株主の利益を傷つけることになってしまうのです。
では採用情報はどうでしょうか?
人を採用するのに、どんな風に自分の会社のことをアピールしているのか。これはあるかも知れません。
積極的に公開されるべき非財務情報かも知れません。
入社した人材は戦力となってくれるわけですから、ヒューマンリソースについて会社がどんな計画を立てているかは投資判断の重要な要素です。
あるいはまたヘッドハントする際に会社が説明する内容もあります。
ヘッドハントするターゲットとした人材がどういう人なのかもそうです。
結局、「非財務情報」と言っても、色々と漠としていてつかみどころがありません。
投資家は決算報告書以外にその会社の何を知っておけばいいのでしょうか。
非財務情報の本質
すなわち、いったい非財務情報の本質とは何かということです。
決算以外の情報で投資家に開示すべき情報とはいったい何なのか。
結局、それは「インサイダー」ということに尽きるのです。
先ほど挙げてみたことのほとんどがインサイダー情報です。
もっと言えば、その会社のCEOの人物はどうなのか人柄はどうなのか、現場の考え方、捉え方はどうなのか、実はそれは最も重要な非財務情報のひとつなのです。
あるいはその下でも同様です。
直接の担当者が安定した精神を保っている人なのか、各部門のリーダーがリーダーとして相応しい人なのかどうか、それだって大事な場合があるかもしれません。
こうしたことはあまり表に出ることはありません。しかし、間違いなく「非財務情報」としては重要なことです。
すなわち、そうしたことが積み重なって財務情報という決算、事業成果に結び付いているからです。
会社はまず第一に人なのですから。
非財務情報とは、売り上げや利益率、そうした決算報告書以外のこととされているのですから、当然そこに影響を与える要素ということになります。
担当者や役員、CEOの人格面や人となり、人柄なんてことは最も重要なことということになります。
不公正なインサイダー情報
この手の情報は入手しにくいように聞こえますが、ファンドや大口の機関投資家というのは実はこういうことを常に気にして具体的に動いているものです。
彼らは実際に会社に出向いて担当者と面談もし、CEOの人物評価さえしています。
例えば、大株主で、いわゆる「モノ言う株主」のシェアホルダーがいて、それが社外取締役の人選に反対したりすることがあります。
結局、それだって一般投資家とは別に情報網があるからできることです。
一般投資家にはさっぱり誰だか分からなくても、彼らを把握しているわけです。
すなわち、インサイダー情報に基づいて動いているのです。
「会社四季報」にしても、担当者が面談にいって会社に取材をしていますが、しかし結局はこうした情報は出てくることはありません。
ましてや一般投資家がこうした実態に触れることはほとんどないでしょう。
これは昔から資本市場における不公正で不適切な慣行と言えます。
すなわち非財務情報とは「インサイダー情報でしかない」ということです。
そこには情報の不公正があるのです。
個人投資家とすれば、せいぜい株主総会あたりで質問に答えてくれることで、その息遣いや表情でせいぜいCEOの人間的な側面を垣間見る、そんな機会があるというに過ぎません。
企業による情報の開示は決して公正なものではありません。
それは金融市場の闇とも言え、資本市場の不完全な部分でもあります。
確かにIRなどでCEOからのメッセージは出ているかも知れません。
「ご挨拶」などとして総会配布資料のトップにはCEOの事業に対する姿勢が表明されているかも知れません。
しかしそれは編集され、代筆者が巧妙に美辞麗句を盛り込んだものかも知れません。本人が書いているという保障はどこにもありません。
IRでのごたいそうなメッセージをCEOの人となりと結び付ける根拠はどこにもないのです。
本来の非財務情報のスリ替え
一方で昨今、「非財務情報」ということが盛んに言われていますが、それはこうした情報を指したものではありません。
その開示をどうするのかというガイドラインが盛んに議論され、言われているわけですが、それはESGやSDGなどということにいつの間にかなっています。
実際にESGに関して、公開会社は非財務情報としてその取り組み方に触れるよう、規定が改正されてもいるのです。
しかし結局、非財務情報の開示というのは企業の投資家に対する誠意の問題でしかありません。
どれが決算という財務的な事業成果に結び付くか、それは内部の者でなければわからないからです。人に何を開示せよと言われるような類のことではないのです。
何が事業成果に影響を与えるものなのか、それを知ることは外からは難しいのです。
しかしそれはESGであるとして、わざわざ非財務情報として定義しようという動きがあります。極めて不審なことと言わざるを得ません。
そして「ESGは開示すべき非財務情報である」などと定義し、これを開示すれば情報開示が公正であるという理屈になろうとしています。
これは全く理屈がありません。
何が事業成果に結び付く重要な「非財務情報」であるかは実は個々の事業によって異なり、分からないからです。
ましてや、ほとんどの場合「地球環境」などというプロパガンダと事業活動による財務的成果は関係がないのです。
企業の事業活動は地球環境や社会的な合意形成に影響を与えることはあっても、これに縛られるものでもありません。
それは政治的問題でしかないのです。
もともとは財務情報には載らない情報でももっと開示せよ、それが市場の透明性の確保につながる、そういう流れだったはずなのです。
それが本来の趣旨でした。
しかしこれが地球環境問題などというプロパガンダへと歪められています。
歪めたのはいったい誰なのでしょうか。
公開すべき非財務情報がESGやSDG、果てはジェンダーとかそのダイバーシティ、つまりLGBTへの取り組みなどと変容しようとしているのです。
なんでそんなものが重要な「非財務情報」ということになるのか。
そこには議論、討論すらありませんでした。
例によってこれを「所与の前提」とし、議論するまでもない当たり前のこととして片付けられてしまっています。
すなわち、インサイダーである「非財務情報」の中味が、いつの間にか西側のグローバリストたちが主導するダボス会議から出たプロパガンダにスリ替わっているのです。
グローバリストのプロパガンダ
非財務情報は決してESGやSDG、ジェンダーやダイバーシティ、つまりLGBTとはできるものではありません。
「投資に役立つ財務以外の情報」ということがその本質だからです。
ESGやSDGなどというものは実際の事業活動の目的からは外れたことです。
それこそせいぜい企業イメージ向上のために慈善運動をするようなもの、その程度のことです。
これが誇張され、まるで企業は資本主義本来の成長と利潤追求を放棄しろ、そんなことにさえなっています。
ESGやSDGというものは単に社会の規範的なことに過ぎません。
しかもそれは規範と言っても、ただグローバリストたちによって喧伝されているというだけで、なんら実証されたものではないのです。
近年、西側が付和雷同するようになった政治的プロパガンダのひとつに過ぎません。ウクが正義と言っているようなものです。ロシアが悪だと戦争を焚き付け続けているのと同じです。それが企業活動と何の関係があるでしょうか。
すなわち成長と拡大再生産ということです。
ESGやSDGというのは本質的に投資とは関係のない情報なのです。
環境に配慮することは企業の収益とは何の関係もありません。
私たちはそれが投資リターンと関係があると思い込まされているというだけです。
それは例によってまやかし、嘘、すり替えのペテンでしかない。
しかしそれは依然として放置されたままなのです。
代わりにESGやSDG、ジェンダーやダイバーシティ、LGBTなどというもので誤魔化そうとするには別な動機があり、これに乗せられている連中にも別な思惑があるということです。
投資に役立つ財務以外の情報が、まるで投資とは関係のないプロパガンダになってしまっているのです。
こうして、非財務情報の開示を公正なものにするための努力は放棄されつつあります。
果たして一部の国際金融資本を動かせるグローバリストと呼ばれる連中は、インサイダーを温存したいがためにこんなスリ替えを行っているのでしょうか。
本当の非財務情報は隠される
例えば一番大きなところではそれは社長の性格、その気質です。
それが重要な「非財務情報」となります。
こういうことが公正に開示されないでいて、一部の人間や大手機関投資家だけが入手できるというのでは投資の公正さが保障されているとは言えません。
すなわち、ESGやSDG、ジェンダーやダイバーシティというものはこのことをボカそうとしていることになります。いわばスリ替えです。
巨大国際資本を動かす連中が優先してインサイダー情報を入手できる不公正さを無視し、そこに奇妙にもESGやSDGなどということが持ち込まれ、ジェンダーやダイバーシティというスローガンを利用してそれを公開せよとのガイドラインを作り、本来の非財務情報の開示状態の不公正さ、不透明さを隠そうとしているのです。
各種行政機関の規制に対しての検査の不正やそれこそ会計不正、日野自動車の不正やみずほ銀行の度重なるシステム障害がありました。
最近でも明らかになって問題化したことは多くありますが、こうしたことは非財務情報を見れば明らかだったかも知れないのです。
もちろんそれはESGやSDGなんてところにありはしなかったのです。
投資家の企業に対する信頼は裏切られ、投資家は損を出しました。
日興証券の株価操縦事件は、会社は外部からコンサルを呼んだだけ、社長は引責辞任をしませんでした。なんらその根本的問題は改善していません。
すべてはやった者勝ちです。
そうして彼らはESGやSDGなどを免罪符とし、企業は株主そっちのけで経営陣が私物化するというのでしょうか。
ESGなどの美辞麗句に逃げて済ませようとする風潮すらあるということです。
相変わらず非財務情報の本質に沿った情報は開示されないままです。
日本電産、永守会長の正体
例えば、最近明らかになった日本電産会長、永守会長の醜聞はまさに耳を疑うようなものでした。
経営の神様のように言われてマスコミから取り沙汰されることの多かった有名な人物ですが、実は単なる創業者のダダっ子でしかなかったことが暴露されました。
彼の送った神経質で永守氏の精神状態を疑わせしめるようなメールが公開されてしまったのです。
永守会長の毎日の成績に執着するだけの醜態ぶり、毎日神経質に細かいことに右往左往して部下にストレスをかけるだけの専横、そのメールは常軌を逸しているとしか思えないほど常識がありませんでした。
不要な頻度で細かな報告をいちいち要求して現場の効率もわきまえない、まさしくないものねだりです。
そしてそれは「モーレツCEO」に率いられた日本電産の社風だ、としてはばからないタイコ持ちたちによって支えられてきたものでした。人事、そして社長室。
こんなパワハラスキャンダルがとうとう露呈してしまったのです。
永守会長は部下のプライベートの時間さえ平然と奪ってはばからないような、粘着質のガキだったことが今、明らかになっています。
永守会長のパワハラがあまりも激しく、これに耐えかねてヘッドハントされてきた人々が大量退職したことがニュースとなって、それがキッカケで最近やっと内情が明らかになったのでした。
その異常な社風と永守会長を取り巻くタイコ持ちたち、彼らががどれだけ日本電産という会社、その株価にとって不安材料であるかは明らかです。
しかしそれはまるで個人投資家に知らされていなかったものでした。
こんな作られた虚像、ガキのような人物が経営しているような会社には将来はありません。
永守会長が寿命で死ねば日本電産なんて会社などどうなってしまうのか。
いったい、そのリスクは開示されてきたのでしょうか。
少なくとも永守会長に後継者はいないのです。
それでももし株価が維持されているとしたら、誰かが一般投資家をハメこもうと手ぐすねを引いている以外にはありません。
あえて言うならばそれはSDG、それこそサスティナブル(持続可能)ではないのです(笑)。
それは地球環境以前の問題です。
会社としてはこれまで、せいぜいその永守会長のモーレツ仕事人間という虚像を維持するのが精一杯だったのでしょうが、そんな裏事情を考えれば、これまで裏でどんな不正があったか、不公正な取引慣行や独禁法違反があったのか、想像しただけで恐ろしくなってきます。
非財務情報は今はとりわけESG、地球環境問題への取り組みと言うことになっているからです。
「持続可能性」などと言って、グローバリストたちはあるかどうかも疑わしい地球環境問題と企業行動を結び付けようとしていますが、企業が持続可能かを考えるのであれば日本電産の永守体制には間違いなく疑問があります。
果たしてこれはスリ替えと言わざるを得ません。
論理のすり替えということです。
どうにも怪しくて仕方がない。
非財務情報の本質からすればESGは詐欺である
これは本質的にはグローバリストたち、すなわち資本主義や自由主義、民主主義に反する勢力が、私たちの資本主義という根本のシステムを脅かしていることの表れのひとつと言えます。
資本主義からリターンを度外視させようと言う動きだからです。
ワールドエコノミックフォームラム、いわゆるグローバリストたちが視線逸らしをしたのです。
彼らは自分たちが動かす世界金融資本によって世界を支配しようとしています。
彼らの動かせる国際金融資本の基準に従え、それがこれからの企業の行動規範になるのだ、と、世界金融資本を動かせるのだと、彼らは民間企業を恫喝しているのです。
また、まともな治験もされない疑問だらけのワクを世界中に広めたのです。
彼らの覇権的野心のためには常にカネが必要で、そのカネのためには連中はどんなプロパガンダを利用することもやってのける。
非財務情報の本質はインサイダーです。
それをどれだけ積極的に開示するかどうか、企業が株主に対してどれだけ誠実であるか示すことになります。
ESGなど本末転倒なことです。
企業本来の利益追求とは逆行しているのです。
しかしこれをもし政治にやらせようとすればグローバリストたちにとっては不都合なことになります。
独立国が各自に決めることになり、あるいは民主主義国家であれば市民が決めるということになります。
だから彼らは政治に優越させてこうした金融資本を使ってこんなプロパガンダを植えつけようとしている。
こんなプロパガンダに乗る連中は自社が安泰とも思うことでしょう。
それでも彼らとてカネ、利益を追求しているのです。
そのカネを使って世界を好き勝手に動かすつもりなのですから。