シロアリ話、続き。
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その敷物を捨てた納戸の壁を隔てたすぐ外の縁側はコンクリートになっていて、そこに角材がひとつずっと長いこと転がっていた。ああいう角材のことをゲバ棒という(笑)。なんか、最近、共産党がキモい。テレビメディアは喜んで取材してるようだけど、趣味で秩序崩壊させ反政府やられて、暴れられても困るんだが。
家が古いのでどこか必ず直すことになる。
角材はその修繕をした時のもので、余ったまま放置してしまったのだが、なんとなくずっと片付けずにそのまま転がしておいたままだった。
ある日、何気なくその木材をちょっと裏返して見ると、下にはびっしりとシロアリがいた。まさにびっしりと貼りついていた。
まるでウジが腐肉にたかるように、角材の裏にウヨウヨとシロアリがタカっていたのだった。
あまりに目の前にウヨウヨといるので、直接その群れに殺虫剤を噴霧してみた。大量殺戮だ。
ふと、脇を見ると、ちょっと離れた物陰にカエルがじっとしてた。こちらの様子を窺っているのか、大きなカエルがじっとしていた。
晩のことだった。季節は梅雨かその直前だったと思う。
翌日、見事にそのシロアリの死骸はすっかりなくなっていた。根こそぎというかこそいだ感じでシロアリの跡だけを残して何もなくなっていた。
どうやらあのカエルが食べてしまったかと思ったので、少しカエルが中毒にならなかったか心配した。
殺虫剤をかけてしまったシロアリを全て食べてしまって大丈夫だったろうか。
あるいはもしかして、シロアリには近所に手ごろな角材があったため、殺虫剤を納戸の部屋にまかれてからの次のシロアリの巣にしたのではないかとも思った。
そうすると、そのままにしておけば角材をエサにしてくれ、家に被害が及ぶことはなかったかもしれないことになる。
いっそのこと被害に合わないようにそんな場所を作っておこうかとも考えた。
原理は「DMZ」と同じだ。「DMZ」は「非武装中立地帯」と訳す。ITの世界、サーバーでも同じ言葉が使われる。
そって、最近だとあそこ(笑)。南北の会談でもあそこはそういう位置づけだったか。まああんな連中の駆け引きとシロアリを一緒にされても困るか。
それは納戸からシロアリがいなくなってから数年後のことだ。
同じ頃、納戸の隣、接する風呂の入り口の踏み板がとうとう腐ってどうにもたまらないというので、踏み板を交換しそこにタイルを敷き詰めることにした。
腐った部分を壊して掘ってゆく感じの準備を進めてゆくと湿気で腐った木材がいっぱい出てきた。気持ちの悪いほど木材が湿気で腐食していてグズグズになっていた。
取り除いてゆく作業には気合が必要だった。
気持ちが悪くてつい放り出しそうになるほどだった。
不思議とその時はそこにシロアリの姿はひとつもなかった。食害もなかった。
セメントを詰め、タイルを敷いてみると、かなり見てくれがよくなる。
タイルというのはひとつひとつ埋めてゆくのかと思ったら、ひとつのまとまりになって売っている。面白いものだ。よくできている。
キレイに敷くことができる仕掛けがタイル自体にされているとはぜんぜん知らなかった。
モノを知らないので、てっきり職人がひとつひとつ貼り付けていくものかと思っていた。こうなんか糸でも張って、まっすぐになるよう注意しつつ・・・。
途上国では未だにレンガなんかはひとつひとつ、タイルもひとつひとつ貼っているのを見たことがある。だが日本はちょっと違う。痒いところに手が届く。
素人でも簡単にタイルは施工できる。
上手にできるとなるとなおさら楽しいものだ。
たいした面積ではないのだが、やったことがない初回で成功するというのは気分もいい。
モダンというか、かわいらしいというか、気持ちのよい入り口になった。
これまでのように、腐った板を恐る恐る避けながら風呂へと入っていたのとは違う。
古びた風呂の入り口がパアッと明るくなった感じだ。わずかの部分が変わるだけでも実に気分がいい。小汚い古い浴室ではあるのだがこれは悪くはないと思った。
この時、入り口の反対側の踏み板は大丈夫のようだったので交換はしなかった。
そんなことがあって、すっかりシロアリのことは忘れてしまった。シロアリはタイルなど食わない。
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